最近、私の事務所で購読している帝国ニュース(帝国データバンク発行)では以前より県内の倒産情報が増えている感じがします。アベノミクスがもてはやされる反面こうしたことが起こっているため、景気が良くなっているのかどうかわからない状態です。
私のお客さまに聞いても、株等に投資している人は別としても、本業の方に良い影響があったという話はあまり聞きません。アベノミクス効果が実体経済に現れるかどうかはこれからの政策にかかっているのではないでしょうか。
ところで、標題は、二宮翁夜話(日本経営合理化協会出版局)の中の一話です。二宮翁夜話とは二宮尊徳(金治郎)の言行を、門弟の福住正兄が折にふれて筆記し、後にまとめられて、明治17年に出版されたものです。初版のものは多少読みにくさがあったようですが、現在出版されているものは読みやすくなっています。
倒れる原因について次のように語っています。
暴風で倒れた松は、幹に雨露がしみ込んで腐り、すでに倒れそうになっていた木なんだな。大風で破れた垣も、杭が朽ち、縄が腐って、まさに破れようとしていた垣根なんだ。
風は平等に吹き、その松を特別に倒そうとして、吹いたわけでもなく、また、その垣根をこわそうとして、わけへだてして吹いたのではないんだから、風がなくともいずれ倒れたり、破れたりするはずのところへ、たまたま、風が吹いて倒れ、破れたんだ。
この世のことは皆そうで、鎌倉幕府や室町幕府の滅亡も、人の家が滅びるのもみんな同じなんだよ。
企業の倒産も同じことではないでしょうか。景気が悪くなったから倒産するのではなく、景気が良かった時不景気に備えた企業は倒産しないし、備えることなく散財したところは倒産していくのだと思います。不景気は最後のひと押しをしただけのことです。従って、今業績の良い企業も、業績が落ち込んだ時に備えておかなければなりません。
この本にはこのような話が281話掲載されています。定価10,290円で、少し高額ですが、読む価値はあると思います。一冊備えたらいかがでしょうか?
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